しろ



冬が好きかと聞かれれば、きっと、好きではない、と答えていただろう。
雪が好きかと聞かれれば、きっと、嫌いだ、と答えていただろう。
どちらも、白を連想するから。
何もかも、白に染め上げられる季節だから。


ゆきやー!


禁忌の色。
忌み嫌われた羽の色。
半妖半人の身体。
厭われた、存在。
白は、嫌いだった。


転びますよ


さくさくと、白を踏む。
さくさくと、先を行く足跡と、人を追う。


だいじょーぶやって


頬を赤く染め、貴女が笑う。
白に囲まれた貴女は、とても、とても、高貴なものに、神聖なものに見える。
貴女の近くにあると言うだけで、白はこんなにも清廉なものに見える。


久し振りや、こんな雪


くるりと舞う貴女に、くるりと舞い散る白。
私が嫌いな白は、貴女の傍にいるだけで貴女だけの白になる。
私の白以外、は。
私の白は、嫌いだった。


積もりましたね


貴女に触れた白は、こんなにも綺麗なのに。
私の白は、どうしてこんなに穢れているのだろう。
そう、思っていた。


まっしろやなぁ


白に映える赤。
染まる頬。
白い世界で、貴女が笑う。


せっちゃんの羽みたいで、好きー


貴女のその一言で。
天の使いの様だと言ってくれた羽の色は。
私を穿つ色は。


ありがとう、ございます


貴女に誇れる色となる。

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