言葉をしゃべれるようになってきて数カ月。
会話ができるようになったステラちゃん。
そんなステラちゃんの本日のお守は書斎で仕事をしているパパの相棒、バルディッシュでした。
<Please call my name.>
絵本を読んでいたステラちゃんに、何を思ったのか、バルディッシュがそんなことを言い始めたのです。
ぱちくりと眼を瞬かせ、ステラちゃんは口を開きます。
「ばるでっし」
ちょっと違います。
バルディッシュがちかちかと光りました。
<Again.>
「ばるでっしゅ」
おしい。
ちかちか、光ります。
<Please again.>
「ばるで、・・・。ばるでっ、・・・・・、ば・・・」
どうやら「ディ」の発音がうまくいかない模様。
それから、ばるで、ばるでっ、ばるでし、と続けていたステラちゃん。ちょっとムキになって呼んでいましたがしばらくの沈黙の後、輝かしい笑顔をバルディッシュに向けて、こう、呼びかけました。
「ばる!!」
<.....................Yes, senhorita...>
ちか。一度輝いた金色は何だか微妙な光加減でした。
それから数日後。
「パパ、ばるとはなしたいです」
そんなことを言った次女に首を傾げるフェイトさん。
「ばる?」
<Sir.It is me.>
返ってきたのは娘の声ではなく自分の手元から。
「え、・・・・・・・・え?バルディッシュ?」
「うんっ」<Yes.sir.>
さらにそれから数時間後、なぜだか凹んでいるパパがママにこう言っていました。
「バルディッシュと仲良くなってるんだ・・・、私が知らない間に、ばるのこと好きって言ってるんだ・・・」
「はいはい。よしよし、フェイトちゃん」
ステラちゃんが、パパといっつも一緒にいるバルディッシュを羨ましがっていることなんて当人は知りません。