アフター4

 


「あ、ヴィヴィオやん」
「はやてさん」

本局の無限書庫近く。
かったるい会議(本人談)を終わらせたはやてさんが見つけたのは親友たちの子供でした。
笑顔のヴィヴィオちゃんに近づくとともに気付きます。彼女の後ろに隠れるようにある小さな人影。

「今日はちんまいのも一緒か」

ヴィヴィオちゃんが妹であるステラちゃんを一緒に連れてくることはそれほど珍しいことではありませんでした。
大抵、アイナさんが用事で居ないとか、もしくは。

「服の裾握って放してくれなくて」
「でれでれの顔で言われてもなぁ」
「だって可愛いんですもん」

珍しくわがままを、というよりも寂しいという本心を表に出した妹を姉が放っておけないのです。余談ですが学園にまで連れて行きそうになった姉がいたことを追記します。
はやてさんはヴィヴィオちゃんに隠れるステラちゃんと目線を合わせるように膝を折り、微笑みます。

「ステラー」
「っ」
「はやてさんやでー?」

ちらりと臙脂が覗き、すぐに隠れてしまいました。
揺れる明るい栗色の髪を見ながら、はやてさんはしみじみ呟きます。

「・・・・・・・なのはちゃんの顔でフェイトちゃんの雰囲気。・・・・・あの二人の娘なんやなぁ」

それにヴィヴィオちゃんは返します。

「私は?」
「ヴィヴィオはなのはちゃんに似すぎたんやなぁ。子供の似様まで尻に敷かれるフェイトちゃんはさすがってとこか」
「・・・・・・それって喜んでいいですか?」
「おかーさんそっくりってことや」

口端を上げて、ついでに腰も上げて、はやてさんはヴィヴィオちゃんを・・・・・見下ろそうとしていつのまにか既に同じくらいの背の高さに軽く凹みながらもそれを意地でも表情に出しませんでした。司令は変なところで意地っ張りです。
一息、はやてさんは明るい栗色を見下ろします。

「ま、久し振りに会ったから照れてるんやろ?」
「たぶんそうだと思います」

パパ似の性格は、パパの親友であるはやてさんにはお見通しでした。

「ほんならあたしは行こかな」
「また遊びに来てくださいねー」
「おー」

軽い挨拶と共に踵を返したはやてさんの背中を臙脂が捉えました。

「ぅを?」

小さな足音が聞こえたかと思えば、はやてさんが感じた裾を引っ張られる感触。
首を回して背後を見れば、こちらを見上げてぱくぱくと金魚のように口を開いては閉じるステラちゃん。
しばらく沈黙が続き。

「はやて、さん」

控え目な声。

「おはなし、したい、です」

子犬や子猫のような遊んでと言いそうな、けれどどこか不安に揺れる瞳。
パーフェクトでした、ある意味。

「くあー!!何なんこの可愛いの!!」
「ぅぎゅ」

次の瞬間はやてさんはステラちゃんを抱き上げて頬ずりしていました。
予想通りです。
それに黙ってないのがお姉ちゃん。
ヴィヴィオちゃんはすぐさまはやてさんに詰め寄ります。

「はやてさん!ステラは私のです!!はやてさんであろうと譲れません!!」
「シスコン」
「ステラだったらシスコンでいいです!!」

真っ直ぐすぎるオッドアイになんとなく既視感を覚えて遠い目になるはやてさん。
蘇る記憶。漏れだす乾いた笑い。
ヴィヴィオちゃんは、ママ℃翌ナす。
そんな両親のお友達とお姉ちゃんを交互に見ていたステラちゃんは首をかしげました。

「しすこん?」
「ああ、自分のおねーちゃんとかいもーととかむちゃくちゃ大好きな人のこと」
「・・・・・・・・」

はやてさんの答えに沈黙。
数秒経ってステラちゃんはお姉ちゃんに可愛らしい微笑みを向けました。

「ヴィヴィオおねぇちゃん、わたしもしすこんだよ」
「〜〜〜〜〜〜〜ステラッ!!」

感極まってはやてさんから妹を奪取して頬ずりっていうかもうほっぺにちゅーしているヴィヴィオちゃんを見てはやてさんは他人事のようにこうもらしました。

「あかん。この姉妹止めたれ」

誰が。
答える人はいませんでした。


 

ちなみに次女もザフィーラさんめっちゃ好き

 
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