大学生と女子高生
パロる。
私が書いてるいつものような性格の子らではない可能性が微レ存ですよ。
それでもいいっていうならどうぞ!
21なのはさんと、16フェイトさん。
良い年齢差だと思わんかね。
……あれ、なんかはんざいしゅうがする。
私が小学生の頃、お母さんの親友だと言う人がこの町に越してきた。
お母さんに促されて挨拶した私に、ふわりと微笑んだその人は、自分の後ろを見遣って言った。
「ほら、ご挨拶しましょう?」
その人、リンディさんの服の裾を握って、後ろに隠れていた小さな女の子を見た瞬間。
おずおずと、少し不安そうにこちらを見上げる紅に。
「ふぇいと、てすたろっさ、はらおーん、です」
綺麗な子だな、って思った。
「なのはちゃん、ろりこんやってん……?」
「違うよ!!」
「親友の新たなる一面を知って、わたし驚愕」
「違うってば!!」
無駄にシリアス顔で慄いたはやてちゃんに全力否定をぶつける。
本日は午後の講義のみ。カフェで何気ないことから昔話に花を咲かせていたらこれだ。
そう言えば、はやてちゃんには言ったことがなかった。私の幼馴染、と言っていいのか、年下のあの子のこと。改めて言うことでもないし。
「で? その子とは今でも家族ぐるみでお付き合いなん?」
「うん、フェイトちゃんちの家族留守にすること多いから、私んちでご飯食べたりとか」
「ほー」
アイスココアが入っていたコップがずここと行儀の悪い音を立てて、はやてちゃんがにやりと笑う。
くるりと宙を描く指先。
「そんなにめんこい子ぉなん?」
「凄いよ」
「や、そんな真顔で言われるとこっちが困るんやけど」
ぺしゃっとテーブルに突っ伏したはやてちゃん。
あの子のこと知らないからそういうこと言えるんだよ。凄いんだよ。本当に。
テーブルに顎を付けたまま、はやてちゃんがこっちを見る。な、何。
「難攻不落のなのはちゃんを落としてたのはびようじょでしたなんて言うたらファン卒倒やろうなぁ」
「語弊があるよね!?」
「ゑー?」
その後も散々からかわれながらカフェを出た。
写真あるんやろ。ないよ。あるよね。ないって。見せろし。やだよ。あるんやん。ナイヨ。完璧あるやん。
さっきからそんな応酬を繰り返して、私の携帯を半ば奪いかねないはやてちゃんから逃げていた時に、その声が聞こえた。
「なのはさんっ」
ああ、聞き間違えるはずがない。
この澄んだアルトの声。ちょっと嬉しそうに弾んだ音色。
振り向けば、金色と紅。
隣ではやてちゃんがぽかんとしているのがわかる。でも今はそれを気にしている場合じゃない。
私は駆け寄ってきたその子に、笑顔を向ける。
はやてちゃんの存在に、慌てて挨拶をするその子に、はやてちゃんも慌てて挨拶を返して、少し人見知りのこの子にしたら、頑張っている。
改めてこっちに向けられた表情が、凄く可愛いです。
「帰りですか?」
「ううん、これから学校なんだ」
どうやら高校は何かの行事で早上がりになったらしい。
たぶん、ううん、絶対一緒に帰りたかったんだろうなーって。
「そう、ですか」
いつの間にか私より背が高くなった姿でしゅーんとしちゃって、なんて言うか、物凄く可愛いです。
その後慌てて授業頑張ってくださいなんてちょっとずれたことを言っちゃうところとか、もう堪りませんね。
「フェイトちゃん、またね」
「はい」
昔と違って可愛いというよりも美人さんになってしまったけれど、そのはにかんだ姿は変わらずあの頃のまま。
去っていくフェイトちゃんを見送って、緩く振っていた手を下ろす。
「なのはちゃん」
「何?」
ずっと黙っていたはやてちゃんが、ぽつりとつぶやく。
やっと再起動したらしい。
「堪忍」
続けて聞こえたのは謝罪。
真剣な藍色を見詰め返す。
「あれはろりこんになるわ」
「でしょう」
私とはやてちゃんは、限りなく真顔だった。
つづかない!