大人と女子高生
パロる。
私が書いてるいつものような性格の子らではない可能性が微レ存ですよ。
それでもいいっていうならどうぞ!
25フェイトさんと、18なのはさん。
良い年齢差だと思わんかね。
通学路。
その人はいつもベランダにいた。
空が東から西へと濃紺から緋色に変わるグラデーション。消え入る前の燃え盛る陽の光が濃い影を作り出す。
深い影に包まれた、東向きのベランダ。そこに、いつもその人はいた。
通学路に面した高級マンション。人が出入りしているのを見たことがない、少し近寄りがたい場所。
薄闇の中で輝く金色と、ぼうっと遠くを見つめる赤い瞳。
綺麗な人だな、って、思っていた。
物憂げなその表情に、触れたら壊れそうなその雰囲気に、儚げなその姿に、私はいつの間にか惹かれていたのかもしれない。
「まさかこんな人だとも思わずに……!!」
「んー? 何かな?」
朝の通学路。
私の隣を歩く人から感じ取るのはなんとも言い難いのほほんとした雰囲気だ。
制服で学生鞄を持った私に対し、その人は私服で手ぶら。財布と携帯だけポケットにつっこんだようなそんな軽装。
「フェイトさん、私これから学校です」
「知ってますよー」
「何でついてくるんですか」
「なのはの学校近くのカフェってこの時間帯可愛い店員さんいるよねぇ」
「……」
ひょんなことで知り合ったこの人、フェイトさんは私が思っていたような人とはかけ離れていた。
変わらないのは容姿だけ。綺麗な人、から綺麗だけどダメな人という注釈がつくようにはなったけれど。
あの薄幸で朧気な雰囲気はどこに行ったって言うの。
「あはは、あの頃はあの時間帯が寝起きだったからねー」
大抵寝るの朝方だったし。
生活スタイルから言ってもダメな人だった。
年上のくせして私に叱られるのは子供みたいな事ばかり。それを嬉しそうににこにこ聞いてるから余計に腹が立つ。
「今は違うんですか?」
「今はちゃんと朝起きてるよ」
「どうしてですか?」
ある頃からこうやって通学中にふらりと現れるようになったこの人。
こんな人と一緒に居る所を見られたら何を言われるかわからないけれど、通学路には同じ制服を着た人はほとんどいない。
他の生徒たちが登校するより早い時間だからだ。
それつまり、元々あんな時間に起きていた人からすれば凄く起き辛い時間。
なのに、フェイトさんがここにいる理由は。
「なのはに逢いたいから」
金色がさらりと揺れて、隣から顔をのぞきこまれる。
静かな微笑み。
悔しいけど、本当に、美人。だから、見惚れた私をとがめられる人はいないはず。
「って言ったら嬉しい?」
静かな笑みから一転、にこり、と人を食ったような笑顔。
引っ叩きたいと思った私をとがめる人も居ないはず。
そんなことをしたら何故か負けた気がするから、朝から精神的疲弊を自覚しつつ、わざと聞こえるように溜息をついた。
「フェイトさんそのうち女の子に刺されますよ」
「ああ、それは怖い」
現にもうあるんじゃないのか。
そう思わずにはいられない。
美人だけど、軽薄で軟派で掴みどころがない人。
本当に、わけのわからない人だ。
一つだけ、わかるとすれば。
「ね、なのは」
もう一度、覗きこんでくる紅色。
「放課後、お迎えに行ってもいい?」
どうやら私はこの人に気に入られたってこと。
そして。
「来ないでください!!」
それをまんざらじゃないと思ってしまう私がいるってことだけだ。
つづかない!