いぬふぇいと9



「電話、しよ思う」


休日前の放課後。
何故だかナチュラルに高町家で紅茶を飲みながらケーキに舌鼓を打っていたはやてさんが、急にマジな顔になって呟きました。
それに反応する、同じく紅茶を飲んでいたなのはさんと、ホットミルクを飲んでいたフェイトちゃん。
動詞は解りました。しかしそのほかの目的語とかがありません。
無論、大抵の人はこう問うでしょう。


「誰に?」


とりあえず相手を明確に。


「月村家のご令嬢に」
「すずかちゃん?」「すずか?」


カチャンとフォークを置き、手を組んで顔を伏せるはやてさん。
めっちゃシリアスを醸し出そうとしているのはわかりますが、その隣に八神印のぬいぐるみ(うさぎ)があるので妙な感じになっていました。
フェイトちゃんをじゃらしていたんですね。


「何で?」
「言ったやろ?罠に掛けるて」
「ああ・・・。獣族に何が何でも会うんだっけ?」
「せや。ツンd」
「それはもういいよ」


フェイトちゃんの頭をなでなでしつつ溜め息を零すなのはさん。
耳に当たる手がこそばゆいのかほんのり肩を竦ませつつ、しかし抵抗しないフェイトちゃんがはやてさんを見やります。


「電話して、すずかのお家の獣族に会えるの?」
「直球じゃ絶対ダメやろな」
「じゃあ、どうするの?」
「任せとき。フェイトちゃんかてあっちの獣族と会ってみたいやろ?」
「わぅ」


頷くフェイトちゃんにサムズアップで答えて携帯を取り出すはやてさん。
数コールのあと、鼓膜を打つ声。


もしもし?
「はろー、すずかちゃん」
はやてちゃん?どうしたの?


すずかさん。
周りの静けさから言って、家にいるようです。


「いやなー、来週末提出の宿題あったやん?」
うん
「範囲忘れてもーて。教えてくれへん?」
いいよ


熱く語った思惑とは全く関係のない会話を始めるはやてさんに首を傾げるなのはさんとフェイトちゃんでしたが、沈黙のジェスチャーをされているので顛末を見守るしかありません。


―――、うん、そこまで
「ありがと。助かったわー」


どうやら建前の用事は済んだようです。
はやてさんの罠は、もう第一段階を終えていたのでした。
すずかさんの後ろで微かに聞こえる猫の鳴き声と、それとは違う声。


「後ろに居るん、獣族?」
うん


目標、確認。
すぅっと細まる瞳とは裏腹に、あくまで軽い口調で問いかけます。


「声だけでも聞かせてー」
んー・・・
「ええやん、ええやんー」
仕方ないなぁ


たかが電話、されど電話。
相互的な会話が出来、そしてそれを周りに聞かれることが少ない。
つまり、はやてさんにとったらこれ以上ない好都合な状況でした。
しばしの沈黙のあと、高めの声が届きます。


もしもし・・・?
「初めましてー」
あんた、誰よ


噂と違わない強気そうな声、口調。
はやてさんの口がにんまりと歪みました。


「ほぅほぅ、聞いた通りやな。あたしははやてや」
・・・、アリサよ


警戒心むき出しの月村家獣族、アリサちゃん。
まずは名前を聞き出すことに難なく成功したはやてさん。
ここから、はやてさんの罠が張り巡らされていくことになるのです。


「そんな気ぃ張らんで、仲良くしよ」
顔も見たことないヤツとどうやって仲良くしろってのよ


予想通りの反応に、これまた想定通りの言葉を返していきます。


「会いたいねんけどなー」
・・・・何よ?


訝しむアリサちゃんの声。
続くはやてさんの言葉、それはまさに流れるような連続技。


「いやなに、ただアリサちゃんがあたしらと会うんが恥ずかしくて怖いー言うとるから会いにいけへんねん」
だ、誰がッ!!


回避不能なラッシュ。


「いやー、ごめんなー?アリサちゃんがそんな恥ずかしがり屋のシャイガールやなんて知らんでー。そらすずかちゃんの友達や言うても会えへんよなー」


そして、トドメ。


「アリサちゃんがそやから会いにいかへんねん」


あくまで陽気に、あくまで明るく、あくまで、上から目線。
これに彼女が、アリサちゃんがどう反応するのか。


ッ!!いいわよ!!会ってやるわよ!!


全ては、計画通りに。
携帯から漏れ出す叫びにギュピンと光る瞳を、なのはさんは見ました。
きっとはやてさんの背後には、どでかくロゴが出ていたことでしょう。


 か か っ た !!


と。
こういうことに労力は惜しまない、それが八神はやてさんです。
内心、鬼の首取ったかの如くお祭り騒ぎなのですが、はやてさんは態度を崩さず再び問います。


「ほんまに?」
当たり前よ!このアリサ様があんたに会う如きで怖気づくわけないでしょ!!いつでも会ってやるわよ!!


言い切りました。
確認、完了です。
その時、勝ち誇った顔をしていたのをなのはさんは呆れ顔で、フェイトちゃんは疑問顔で見ていました。


「・・・・・。そか。せやったらすずかちゃんに変わってくれへん?」


少し乱暴に扱われたであろう携帯から、再び聞こえる穏やかで・・・・さきほどより少し静かな声。


はやてちゃん・・・?
「聞いた?聞いた?すずかちゃん、今のしかと聞いたよな?叫んでたもんな?」


喜色満面。
この言葉が今のはやてさんを形容するのにぴったりでした。
めちゃめちゃ喜んでます。


「これで会わへん言うたら、アリサちゃん面目丸潰れやな」
・・・・・・・・


対して、すずかさんは静か。
こちらは形容しがたいオーラを放っていました、声だけなのに。


はやてちゃん、わざとでしょ
「何のことやろ?」


しらばっくれることに定評のあるはやてさんです。
オマケとばかりに携帯から洩れる声。


すずかっ、早くそいつと会わせなさいよ!


今日最高の笑顔で、はやてさんは言いました。


「ほら?」
・・・・・・・・・・・。はぁ


物凄く珍しく、すずかさんから溜め息が洩れました。
ある種、白旗の代わりだったのかもしれません。


――――――


月村家。
近隣でも有名すぎる名家です。
その本邸ともなれば、その大きさは推して知るべし。


「うわー」
「相変わらずでっか!」


まず門を見上げて感嘆の声を出すなのはさんとはやてさん。
昨日の今日で月村家へ特攻することと相成った2人は手土産片手に月村家に到着していました。
ちなみに。


「あ、フェイトちゃん、どっか行っちゃダメ」
「きゅーん・・・」


そんなに遠出したことがないフェイトちゃんがきょろきょろしながらどこかふらぁっと行きそうになるのを手を引いて止めるなのはさん。
フェイトちゃんもまた、お呼ばれしていたのでした。
呼び鈴を鳴らせば、ゴゴゴゴと門が開いて屋敷へと続く道に佇む人影。


「ようこそおいでくださいました」
「あ、ファリンさんお久しぶりです」
「はい、すずかお嬢様がお待ちですので、こちらへ」


可愛いメイドさんであるファリンさんに先導され、屋敷へと向かえば、玄関の前にすずかさんの姿がありました。


「いらっしゃい、3人とも」
「おじゃまします、すずかちゃん」
「おじゃまします」


ほんわか微笑むすずかさんに挨拶を交わすなのはさんとフェイトちゃん。
そして何故かはやてさんはフェイトちゃんの背中に隠れていました。無理ありませんか。


「はやてちゃん?」
「や、ちゃうねん、ちょっとした遊び心やってん、せやから怒らんで・・・!!」


昨日の電話の時の勝ち誇った姿はどこに。
やはり直接対面すると腰が引けてしまうようです。
なんたって相手はすずかさんですからね。


「ふふ、怒ってないよ」
「え?」
「うちの子も・・・アリサちゃんも何だかんだで皆に会いたいって思ってたみたいだから」


あの電話の後、何があったのかは解りませんがすずかさんの機嫌はいいようでした。
こうなればもうはやてさんを止めるものなどありません。


「せやったら、さあ会おう、すぐ会おう、今会おう。いざ、ツンデレいぬに!!」
「つんでれ?」
「フェイトちゃんは知らなくていいよ」
「はやてちゃん、フェイトちゃんにへんな言葉教えないで」
「・・・・・・・・・・・・、この温度差!!」


顔を覆ったかと思えば、ファリンさんに玄関開けて開けてせがむはやてさん。
気持ちの切り替えの速さはさすがです。
そして満を持し、バァーン!!と開かれた扉の向こうに。


「よく来たわね!!」


これまたズヴァーン!!と仁王立ちする、小柄な影。
落ち着いた色の綺麗な金髪。勝気そうな整った容姿。強い光を秘めた翠色の瞳。ピンと立った毛並みの良い白い尻尾。そして。

たれ耳。

めちゃめちゃ威圧を放とうとしている風情なのですが、たれ耳。
紛うことなきへにゃっとしたかわゆい、たれ耳。
可愛らしい容姿と、たれ耳。
それで何かもう威圧とか色々とぶち壊した感じが否めませんでした。
はやてさんが苦々しく唇を咬みます。


「っく!たれ耳とは抜かった!!」
「はやてちゃん、何で悔しがるの・・・」


何故か悔しがるはやてさんに眉根を寄せつつも、月村家の獣族、アリサちゃんが一行に近づいてきます。
飼い主から外見のことは聞いていたのか迷うことなくはやてさんの前に仁王立ち。
強気な態度を維持したまま見上げます。


「あんたがはやてね?あたしがアリサよ。解った?あんたたちと会うことくらい、あたしにとったら至極簡単なことなのよ、怖気付くわけないでしょ!」


ふんっと鼻で笑うアリサちゃん。
しかしはやてさんは気付いてしまいます。
尻尾が、白く綺麗な尻尾が、持ち主の動揺を伝えるかのように先がピコピコ動いていることに。
これを見たはやてさんがどんな行動を起こすかなんて解りきっています。


「かわえー!!」
「きゃんっ!!」


ハグ。
熱烈な、ハグ。
そのフェイトちゃんよりもほんの少しだけ小柄な身体をぎゅーっと抱き締めて頭に頬擦りする始末です。
アリサちゃんはじたばた暴れますが如何せん体格の差、どうすることもできません。


「こ、このッ!離しなさいよ!」
「そこに可愛い生物がいたら抱き締めるやろ!」
「それあんただけよ!離せーッ!」
「耳ふあふあやー!」
「うっさいわね!」


ぎゃーぎゃ騒ぎ立てる2人。
しかしながらはやてさん、その行動原理は犯罪になりかねますよ。
この光景を苦笑しながら見ていたなのはさんですが、ややあって声を掛けます。


「は、はやてちゃん、あんまりやりすぎると・・・」
「やってかわえーやん!これ!!」
「ぅーッ!!」


威嚇しまくるアリサちゃんにかまわずハグし続けるはやてさんでしたが。


「はやてちゃん?」


その一声、氷の如し。
全身にコンクリートぶっ掛けられたかのようにはやてさんの動きが止まりました。
急に動かなくなった拘束に首を傾げて見上げるアリサちゃんを、そっと救出する腕。


「す、すずか?」
「ダメだよ、アリサちゃん。ああいう反応ははやてちゃん喜ばすだけだから」
「だ、だってあいつがっ」
「ね?」
「・・・わかったわよ」
「いい子」
「・・・・、きゅーん」


やんわりと抱き締めるすずかさんに、押し殺してはいるものの尻尾が左右に揺れるアリサちゃん。
なんと言うツンデレ。
なのはさんはそんな2人から視線を動かし、固まる人物へと声を掛けました。


「・・・・・、アリサちゃんはすずかちゃんの獣族なんだよ?」
「わ、解っとる、いや、解ったわ」
「忍さんにも譲らないんだよ?」
「つまり手ぇだせへんってことやな」
「うん。ちなみにフェイトちゃんは私のだからね」
「牽制された・・・!!」


項垂れまくるはやてさん。
この二つの牙城を崩すことが出来る日は来るのでしょうか。
無理っぽいですね。
そんな中、すずかさんの腕から離れたアリサちゃんがなのはさんの方へと向かっていきます。


「あんたがなのは?」
「うん、初めましてアリサちゃん、仲良くしてね」
「・・・・・・、はやてみたいなことしないみたいだし、仲良くしてやってもいいわよ」


なんと言うツンd(ry
笑顔を向けられて微妙に気恥ずかしいアリサちゃんがなのはさんから視線を外せば、視界に入ったのは金色と漆黒。


「・・・・・」
「きゅぅ?」


今ここに、夢の共演が果たされました。
なのはさんの服の裾を掴みこちらを窺う狼種に首を傾げるいぬ種。
獣族同士の会話が開始されます。


「・・・・・ぅぅー」
「くぅ」
「ぅー・・・」
「ぅー、わんっ」
「・・・・、わぅ」
「わんっ」


なるほど、全く意味がわかりませんね。
フェイトちゃんがなのはさんを見上げれば、優しく背中を押されて促されます。
アリサちゃんもすずかさんに目線を送れば、にっこり笑顔。
一歩踏み出したのは、やはりと言うべきかアリサちゃんでした。


「アリサよ。あんたは?」
「くぅん?・・・あ、えと、フェイト・テスタ」
「ああもういいわよ、ファーストネーム以外なんて。フェイトね?」
「うん」
「あたしのことはアリサでいいわ」
「アリサ?」
「ええ」


どうやら仲良くやっていけそうです。
同じいぬ科の獣族と友達になったことが嬉しいのか尻尾がぱたぱた揺れるフェイトちゃん。
ふにゃっと笑ってアリサちゃんへと近づいていきます。


「アリサ、アリサ、アリサ」
「連呼するな!」
「・・・・・きゅーん」
「凹むな!」


何でしょうかこの微笑ましき光景。
それを穏やかに見守る飼い主2人と。


「あかん、これはお持ち帰りやね」
『はやてちゃん』
「ごめんなさい冗談です」


平謝りするはやてさんでした。


――――――


「はやてちゃんちの子は連れてこなかったんだね」
「若い子に会いに行くでー言うてもノってくれへんかったんよ、何でやろ」
「・・・・・・それはノらないよ」
「主だけでどうぞって、いつからザフィーラはあんな冷たい子に・・・!」
「ある意味はやてちゃんの教育の賜物かもね」
「それどない意味?」
『そのままの意味』


お茶とお茶請けを前に談笑する飼い主ズ。
本日ザフィーラさんがこなかったのにはそんな遣り取りが会ったんですね。
優雅なティータイムを過ごす3人とは別に、獣族ズはというと。


「にゃー」
「わぅ」
『みゃーぅ』
「フェイト、猫まみれよ」
「くぅん?」


猫と戯れるフェイトちゃん。
そして月村家のbPたる猫を膝に乗っけてそれを見ているアリサちゃん。


「凄いね、月村家って猫いっぱい居るんだ」
「すずかが猫好きだからね」
「・・・・・、アリサはいぬ種だよね?」
「そう。だからあたしは特別なの」
「そっか。アリサは凄いね」
「当たり前よ」


やたらと自慢げなアリサちゃんに微笑むフェイトちゃん。
フェイトちゃんは何だかアリサちゃんの扱い方をもう解ってきているらしいですね。
天然ゆえかもしれませんが。
ふと、すずかさんがフェイトちゃんの首元に視線を向けて口を開きました。


「今日はフェイトちゃん首輪つけてないの?」
「あ、うん。ずっと手繋いできたし、すずかちゃんちだし」


散歩の時のように外を自由に駆け回るわけではないので、特につけてはいないんですね。


「出かけるとき絶対つけるってわけじゃないんやなー」
「そうだよ」


何で、と首を傾げるなのはさんにはやてさんは苦笑。
考えが読めたすずかさんが引き継ぎます。


「ほら、ティアナちゃんちは出かける時首輪必須だって言ってたでしょ?」
「ああ、すっごく動き回るから迷子になりやすいって言ってたっけ」
「最近リード付けるでーって脅したらすこぉーし大人しゅうなったみたいやけど」


どうやら後輩が飼っている獣族の話らしいですね。
後輩はいぬ科の獣族保持者たるこの3人に、度々助言を貰っているのです。
その飼っているいぬ科の獣族がこれまた元気すぎるらしく、手を焼いているとか。


「ギンガちゃんは困ってるようには見えなかったけど・・・」
「あこんちの子はティアナといる時いつもに増してやたらとハイテンションらしいから」


よっぽどその後輩のことが好きらしい獣族。
しかし後輩はそんなに興味を持っていないかもとか、そんな現実。
頑張れ、後輩家獣族。


――――――


「これ、アリサのブラシ?」
「そうよ」


猫との遊びを堪能したフェイトちゃんが戸棚においてあったブラシを発見しました。
許可を貰ってそれを手に取り、アリサちゃんに向かって笑顔。


「ブラッシング、してもいい?」
「いいけど・・・って、何でこっちくんのよ」
「だって近づかないと出来ないよ?」
「・・・・・もしかしてとは思うけど、あたしに?」
「うん」


至極当然に頷くフェイトちゃんに、狼狽するアリサちゃん。
まさかブラッシングしてあげる、という意味だとは思っていなかったみたいです。


「な、何であたしなのよ!自分の尻尾でもしてなさいよ!」
「だってもう家でしちゃったから」
「そう言う問題じゃないでしょ!」


最近のフェイトちゃんのブームは尻尾を自分でブラッシングすること。
今日もそれを済ませてきているようです。
そこで目に留まったのがふらふら揺れる白い尻尾だったというわけですね。
ブラシ片手に小首を傾げます。


「だめ?」
「ぐ」


言葉に詰まるアリサちゃんに、みるみる耳が伏せられ尻尾がたれていくフェイトちゃん。


「・・・・・・・・・・くぅん」
「っだー!わかったわよ!すればいいでしょ!」


アリサちゃんはかなり優しい性格です。
そして押しに弱かったりします。


「すずかちゃん、撮らんでええの?」
「今撮ったらアリサちゃんが絶対怒ってこの光景がなくなっちゃうから」
「観賞するに限るよね」


数分後。
飼い主ズの視線の先には、嬉しそうな顔で丁寧にブラシをかけていく狼種と、そわそわしながらも気にしてませんよ的な感じを装って本を読むいぬ種。


「ブラッシングなんて毎日すずかちゃん手ずからしてんのやろ?」
「もちろん」
「なのはちゃんも?」
「最近はフェイトちゃんが自分でしてる。たまーにお母さんとかお姉ちゃん。あとハラオウン家の人が来てたらやってもらってるかな」
「ふーん」
「はやてちゃんは?ザフィーラさんだと時間掛かるでしょ?」
「人型ん時は自分でしてるし、獣型も子犬型の時に済ますからなー」
「なるほど」


しばしの沈黙のあと、何気なくはやてさんが呟きます。


「ちなみに聞くけど、お風呂って一緒に入って・・・・・あ、ごめん、愚問やった」


煌く笑顔×2が、そこに。


――――――


そんなこんなでもう夕方。
お帰りの時間です。


『おじゃましました』
「またきてね」
「はやて、今度あんなことしたら出入り禁止にするからね」
「ハグはすずかちゃん専用かー」
「なッ!」
「うん」
「すずかっ!」


挨拶を交わして、背を向けるなのはさんたち。
その中で尻尾を揺らす後姿にアリサちゃんが声をかけます。


「フェイト!」
「うん?何?アリサ」


てててっと寄ってきたフェイトちゃん。
ぷいっと顔を背けて、アリサちゃんは言いました。


「こ、今度はあたしがブラッシングしてやってもいいわよ」


その頬は、夕焼け色。
なのはさんたちが微笑を浮かべ、フェイトちゃんが一瞬きょとんとした後。


「うんっ」


満面の笑みを浮かべました。





おわれ

補足
アリサちゃんは紛うことなきツンデレいぬです
すずかさんが黒く見えたらもう末期です、洗脳されてます、私に
後輩の獣族は主人馬鹿です


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